展覧会「200年をたがやす」|CULTIVATING SUCCESSIVE WISDOMS

【レポート】トークイベントシリーズ「伝統的工芸品をたがやす」第2回「シン・樺細工の道 」

工芸分野キュレーターの田宮です。

4月11日に工芸分野トークイベントの第2回「シン・樺細工の道」を開催いたしました。ご来場いただいた皆さまには、あらためてお礼申し上げます。

ゲストには明治九年創業の樺細工製造販売元「樺細工 八柳」から、七代目にあたる八柳浩太郎さんをお迎えし、樺細工の歴史から主たる製造方法、昨今の樺細工業界についての動向や、材料や職人の課題などについて、ありのままをお話いただきました。

会場には、原材料となる山桜の皮や、明治期に作られた煙管入れや薬籠、そして現在の代表的な製品をお持ちいただき、実際にそれらをご紹介しながらお話したことで、いつもお店やご自宅で見る樺細工とは、また違った視点で製品を見ていただくきっかけをご提供できたのではないかと思っています。

トークイベント後、八柳さんがSNSに投稿された文章の一部を引用して掲載させていただきます。

SNSでは情報伝達が早く、多くの方に一度に知って頂けるのに比べると、まさに草の根運動にはなりますが、この土地で、実際に山桜の皮に触れてもらいながら、伝えていくことに意義があると思っています。気にせず旅行を楽しめるようになったら、その時はぜひ角館へお越し下さい。

都会では、刺身が海を泳いでいると思っている子どもたちがいる、などという冗談のような話があったりもしますが、ネットが普及し、クリックひとつで答えのようなものが簡単に検索できる世の中だからこそ、やはり、形あるモノが、なぜ、そしてどのようにしてそこに形として存在しているのか、そこに至る歴史や関わってこられた何世代にも渡る方々の思いを丁寧に伝え、知っていただくことは、この時代だからこそ、必要なことなのかもしれないと肌で感じられたトークイベントでした。

トークイベントの最後には、現在、工芸分野で募集している「秋田の伝統的工芸品にまつわるエピソードの募集」をご案内しつつ、実際に八柳さんのところに来られる修理のエピソードなどもお話いただきました。世代を超えて使われてきたものを修理して使う方は少なくないとのことで、中には新品のようになって戻ってきた品を手にして、涙される方もいらっしゃるそうです。200年を超えて、職人の卓越した手仕事によって作り継がれてきたモノだからこそ、その土地に由来する自然の材料で作られたモノだからこそ、いまも同じように直してまた使うことが出来るのも、伝統的工芸品の魅力のひとつだと思います。

そのようなエピソードをお持ちの方がいらっしゃったら、ぜひお話をお聞かせいただけたら嬉しく思います。
↓こちらから簡単にご記入いただけます。
https://form.run/@craft-200years

トークイベントシリーズ「伝統的工芸品をたがやす」
第2回「シン・樺細工の道 」

日時:2021年4月11日(日)14:00〜15:30
会場:秋田市文化創造館 1Fコミュニティスペース(秋田県秋田市千秋明徳町3-16)
参加費:無料
定員:15名

出演:八柳浩太郎(株式会社八柳 専務取締役)
聞き手:田宮慎(casane tsumugu/工芸分野キュレーター)

工芸分野では、6/18までの「つくる」期間中、伝統的工芸品に関するトークイベントを開催していきます。次回のお知らせは、秋田市文化創造館および200年をたがやすのウェブサイトにてご案内させていただきます。

「200年をたがやす」公式ウェブサイト
https://200years-akita.jp