まちを楽しむ部活をつくる(2018年2月・3月)
『まちに部室をつくる』
「部活」というと、学生時代、自らの興味関心から主体的に活動した部活動を思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。”たまり場“となっている「部室」があり、顧問の先生が相談役のようにして存在していました。部活動を通じて、様々な人とのネットワークも生まれました。 同様にまちなかの面白い活動を「部活動」とすることで、市民活動の連鎖がおこり、面白く、そして味わい深いまちになっていくのではないかと考え、まちに部活動をつくるプロジェクトを進めたいと考えています。
「部活をつくる」説明会・ワークショップ
第1回 平成30年2月7日(水)18時30分~20時30分
エリアなかいち にぎわい交流館AU 4階研修室1-2
第2回 平成30年3月14日(水)18時30分~20時30分
エリアなかいち にぎわい交流館AU 4階研究室1-2
藤 浩志 HIROSHI FUJI
美術家・プロジェクトディレクター
1960年鹿児島県生まれ。秋田公立美術大学副学長。京都市立芸術大学在学中、京都情報社を設立。同大学院修了後、パプアニューギニア国立芸術学校勤務。都市計画事務所勤務を経て藤浩志企画制作室を設立。国際展やアートプロジェクトの現場で地域資源・適正技術・協力関係を活かした活動を実践。NPO法人プラスアーツ副理事長、十和田奥入瀬芸術祭ディレクター、十和田市立現代美術館館長を経て現職。
部活プロジェクト、始まる
藤:いよいよ「まちの部活」をつくるプロジェクトが 始まります。チラシには「部活募集」、「部室も募集」と書いていますね。今日は、この経緯を話したり、雑談したりしながら、おもしい「まちの部活」をイメージしていきたいと思っています。学生時代にはいろんな部活がありましたが、面白いのは部室だったと気づきました。そこではいろんなものが許されていて、高校時代、部室は同じ興味・関心を持った仲間が集まる許される場でしたね。
「部活募集」と銘打ってますが、実は、僕はまちに「部室」を作ることを狙っています。町の中のいろんな場所に、いろんな人たちが集まる、いろんな数の部活・部室があればいいなぁと思っています。
活動は名前を付けるところから始めますが、ヒットするのは3割ぐらいで、はずれるのも多いです。全国いろんなところでいろんな活動をしている人たちがいて、部活動のように楽しんでいます。カフェが拠点だったり、お店の一角だったりします。一番重要なのは、興味関心を持った人たちが集まっていて、開かれていることだという気がします。
今日、ここに来ている人は、こういうのがやりたいなというイメージを持っていると思います。そういう部活をつくって欲しいし、それをこの先秋田市がどういうふうにフォローするかとか、全然違う部活動がこれからどういう風につながっていくのかは、これからの課題です。
それぞれの活動がどういう風につながっていくのか、どうしたら深まっていくのか、部室にできるのか、いずれにしても、今日集まった人たちで、どんな活動があると面白いか考えていきたいと思います。まちの部活動を妄想してみてください。
十和田市「超訳びじゅつの学校」
藤:僕が以前いた、十和田市現代美術館で冬季間、「超訳びじゅつの学校」という企画をやりました。学校なのに授業がない、先生がいない、でも、部活の部室だけがあるという、ぼくからすると理想の学校ですので、参考まで、お知らせします。
「ものがたり部」原稿用紙を置いているだけで、ひたすら物語を書いてます。
「観察部」町歩きのようなもの。
「被服部」ひたすら縫物するところ。
「わら部」わらを使って人形とか作る。
「ちいさな美術部」アーティストの奈良美智が部長の、実は豪華な美術部。
「おおおどる部」コンテンポラリーダンス。美術館内で踊ることが許されていた。
「たてばんこ部」「変音部」「薪ストーブ」「よいどれ」などなど……。
席替え 隣の人と話し合い
残念ながら、今、話し合ったものがそのまま部活にはなりません。市の体制が整ったら部活募集をしますので、何らかの形で来年度、活動して欲しいと思っています。
今、活動していることや、こんなことをやってみたいという妄想を、隣の人と紹介しあってください。その相手の活動を紹介してもらいますので、相手を取材してください。
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Aさん:隣のBさんは、「堀を語る会」という活動を、去年の8月から月1回、なかいち、県民会館などで行っています。15名から30名集まって、千秋公園のお堀を語るだけではなく、お堀の草刈りをしたいとか、千秋公園とか中心市街地について話し合っているそうです。千秋公園は夏草が多いので蚊が多いとか、お堀の水質を良くしようとか、千秋公園の再整備計画の提出をするなど、お堀を軸に中心市街地の魅力を発見していく活動を行っているそうです。
藤:ロゴマークってあるんですか。
Bさん:ちゃんとしたものではないが、それっぽいものはあります。
藤:ジャケットつくったり、Tシャツ作ったりは。
Bさん:そこまでは……
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Cさん:Dさんは大学生で、散歩が好きで、カメラを持って秋田市内を歩いていろんな景色を撮ったりしています。秋田市に地下鉄が出来ればどうなるかを夢見て、路線図を考えたり、ここを通るのは何号線とか考えながら散歩しているそうです。
Dさん:小学生のころ、鉄道とか交通が好きで、こういう線路があれば住んでる人たちもっと使えるのになぁとか、妄想しながら紙に書いていました。
藤:完全に架空の町の地図を大規模に作っている人がいます。鉄道の延長で遊びとしては最高なので、是非、路線図作りましょう。秋田地下鉄。出口だけでも作りましょう。まずはロゴマークから。
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Eさん:「屋上開拓部」です。もうちょっと空に近づきたいと考え、封鎖されているビルの屋上を管理会社に交渉する「屋上管理部」をつくり、屋上でパーティや上から見下ろした写真を撮ったり、かまくらをつくったり、雪合戦などを企画する「屋上企画部」もつくり、音や垂れ幕などで、屋上で何かやってるということに気づいてもらう仕組みを考えました。
藤:屋上って解放された感じになるよね。福岡で取り壊されるビルで若者が遊びはじめたら、その建物をもっと活用しようという活動が生まれた、とうことがありました。
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Fさん:「なべっこ遠足部」です。太平山とかに行くんじゃなくて、市民市場で買い物して千秋公園で食べるとか。
藤:食べるだけとか、幽霊部員もいたりして。毎回、どこ行こうかとか、市民市場から始まっているのがいいですね。僕、なべっこ遠足やったことないんでやりたいですね。
2度目の席替、違う人に取材
藤:まだ発表してない人に発表して欲しいのですが、みなさん、違う人に話すことで伝え方が変わったりしたのは感じましたか。
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Gさん:「カオハメ部」です。観光地にあるカオハメを作る部で、あの場所だったらどんなカオハネがいいかとか、逆にカオハメを先に作って、このカオハメが生きる場所はどこだろうとか。そして実際に写真を撮ったりしたいです。
藤:カオハメって、僕ははまらない(笑)。カオハメ選手権やって、カオハメの最も似合う人決めは楽しいね。
藤:今日は楽しい話でした。このノリで応募してください。こういう活動が育っていくと、地域に面白い市民の活動がいっぱい出てくると思っていて、それがまた、いろんなコラボレーションや人とつながると、違う形で展開していくと思います。
だれと作るか、これが一番大事で、企画の大原則です。誰と作るかで変わってくる。何がやりたいかと言うより、誰と作るか。ネーミングを魅力的に。小さいことから、無理しないで持続的に。あといつどこでやるか決めれば活動は始まります。
秋田市への要望としては、そういうのを取材して開いていって、町の中にあふれ、はみ出てきているような状況が作れると、もっとまちを楽しむことが出来るんじゃないかと思っています。
ぜひ、小さく初めて、ネットワークで発表しあえるような感じにできればいいと考えています。